アナログな実世界の旅行

インターネットで世界旅行をデジタル仮想体験するのもよいですが、もし事情が許せば、やはりアナログな実世界での旅行は格別です。

前の職場は出張が多く、いろいろなところに旅行に出かけました。

国内旅行では、北海道内各地と、東京大阪はもちろん、秋田、山形、宇都宮、名古屋、京都、奈良、広島、徳島、熊本、大分、那覇などです。

海外旅行では、ニューヨークやデンバーなどアメリカのいくつかの都市、ソウルなど韓国のいくつかの都市、北京、シンガポール、パリ、アムステルダム、ウィーン、ザルツブルグ、デンマークのいくつかの都市などです。

仕事での出張なので、仕事だけの最短の旅行日程ということもたびたびありましたが、たいてい若干の余裕がありますから、観光や散策に出かけることになります。

最初のうちは、典型的な観光地を巡る、ということが多かったのです。今でも不慣れな海外はそうすることが多いです。でも最近になると国内旅行では、観光地はどこも似たりよったりなのでパスして、普通の町並みを気の向くまま、ふらりと散策することが多くなりました。

人々の生活はどんな感じなのか、どんなところに、どんな家屋や商店があるのか、新しい町並みか、古い町並みか。道路の幅はどんなものか、曲がりくねっているのかまっすぐなのか…興味は尽きません。

もちろん、これといって何かをはっきり発見するわけではありません。なんとなく、おもしろく、散策しているのです。きわめて感覚的な、アナログな旅行です。

歩いて回るのは、結構疲れます。こういうときには、自転車があったらいいなあと思います。今度、飛行機に自転車を載せることにも挑戦してみようかしら。

旅行に出かけるときには、できれば下調べをたくさんしていった方が、楽しさが倍増します。

その街の地形や交通網はもちろんのこと、風物やしきたり。さらにはそれらのことがらにはそれぞれ歴史があり、どのようないきさつでそのようになったのか、という物語があります。

これらの物語を仕入れていくと、旅行でただ町並みを眺めるだけでも、ああそうか、これがあの物語の舞台なのか…と、感慨も大きくなります。

さらに、旅行する前も楽しくなります。いろいろ調べているうちに、ワクワクしてきます。はやく旅行に出かけてこの目で見てみたくなります。

でも実際には、特に仕事の出張だと目的の仕事がありますから、出張前はたいていその準備でてんやわんや、旅行先の土地の歴史など調べているヒマはありません。旅行ガイドブックを 1 〜 2 冊買っておくだけ、となりがちです。

移動の飛行機の中で読もうか、と思うのですが、たいてい仕事の準備で寝不足で、移動時間は休息時間となってしまいます。

いきおい、現地に到着してから、さあここはどこ?何があるの?と、旅行ガイドブックをぱらぱらと見回します。もう時間がないので、適当に散策するか〜、となります。

実際、旅行に出かけてみると、あんなものもある、こんなこともある、ああもっとあらかじめ調べておけば、もっと楽しかったのになあ、もったいない、と残念がるのです。これが私の旅行のいつものパターンです。

調べごととなると、いまどきの最強ツールは、インターネットです。アナログな旅行の下準備に、デジタルなインターネットを活用するのです。

興味のある単語で検索をすれば、びっくりするほど詳しい情報がどんどん得られます。それほど一般的とも思われないことを検索しているのに、世の中にはどんなことでも、どこかに詳しい人がいるものなんだ、と感心してしまいます。

転勤して、新しい職場では出張旅行が少なくなりました。多少自由裁量が増えたようなので、休みをとるなどして今度は仕事ではない旅行を計画してみようかなと思います(できれば自転車もつれて)。

相変わらず旅行の下調べの時間はとれそうにありませんが、思うに大人になると、ちょっと長く生きている分旅行に有用ないろいろな雑学が既にインプットされているのです。

地名を聞くと、ああそこには○○という名物料理がある、とか、○年前にそこで大事件があった、とか、少し前に△△というテレビドラマで舞台になったっけ、とか、そういう記憶が 2 つ 3 つは出てきます。

知り合いも増えているので、この町にはあいつがいる、というケースも増えてきます。

学生の頃はどこへ旅行してもただの街ただの山つまんないやおしまい、だったのですが、雑学が増えた分「見えるようになった」のでしょうかね。旅行のおもしろさはぐっと増えたような気がします。

普通、年はとりたくないものですが、こういうことなら年をとるのも悪くないかもしれません。

自転車で歴史と温泉の旅、なんての、ワクワクします。ちょっと年寄りくさいかな?